黒いキッチンはなぜ流行っている?|ドラマと現実から考える、白と黒の正しい選び方
こんにちは。ととのえりです。
今日は新しい物件のコーディネートのために、
パナソニックとリクシルのショールームへ
行ってきました。
ショールームは展示も人も多く、
いつもより賑やかな雰囲気。
「なんでこんなに混んでいるんだろう?」
と思っていたら、
そういえば、
竹内涼真さんが出演していた
「じゃあ、あんたが作ってみろよ」というドラマで、
パナソニックのキッチンが
使われていたらしいんですよね。
なるほど〜。
それでか…と腑に落ちました。
改めて、
ドラマの影響力ってすごいなぁ…と実感。(笑)


ドラマのキッチンは、白くてやさしい
そのドラマを思い返してみると、
印象に残っているのは、
天板が白で、
面材はナチュラル系のキッチン。
全体的にやさしくて、
主張しすぎず、
暮らしにすっとなじむ雰囲気でした。
でも、ここで
ひとつ気づきます。
最近のキッチンの流行を見ると、
黒を基調にしたキッチンが
とても多い。
ショールームでも、SNSでも、
「かっこいい」「今っぽい」キッチンといえば
黒系、という印象があります。
じゃあなぜ、
ドラマの中では黒ではなく、
白やナチュラルが
選ばれていたのでしょうか。
ドラマの主役は人。キッチンは脇役
理由は、とてもシンプルだと思います。
ドラマも現実も、
主役は人。
けれど、その距離感は同じではありません。
物語の中では、
キッチンが語りすぎる必要はありません。
人の表情や感情、
会話や関係性を
邪魔しないこと。
だからドラマのキッチンは、
目立たず、主張せず、
「そこにあるのが自然」な
色や素材が選ばれている。
黒を使うと、
空間の輪郭が
はっきりします。
その結果として──
良くも悪くも、
キッチンを通して
登場人物の印象まで
“語り始める”色になる。
このドラマでは、
キッチンが語る必要はなかった。
だから、
黒ではなかったのだと思います。
目を向けてみます。
キッチンは、
毎日使う場所。
調味料も出るし、
マグカップも置くし、
鍋やフライパンも
一時的に並びます。
ショールームやドラマのように、
自然とおしゃれな状態で
保てる場所ではありません。
むしろ、
生活感が出やすい場所No.1。
そこで今、
黒系のキッチンが
とても流行っている背景を、
白と黒の違いを軸に、
インテリアコーディネーター目線で
考えてみました。


「明るく見える白」と「受け止める黒」
白いキッチンは、
とてもきれいに見えます。
ザ・清潔。
という感じですよね。
明るく、
余白が美しい。
ただし白は、
「モノを置かないことで
成立する色」。
ものが増えた瞬間、
生活感が
そのまま表に出やすいのが特徴です。
一方で、黒はどうか。
黒は、
上に置いたものを
すっと受け止めてくれる色。
多少ものが出ていても、
空間として
破綻しにくい。
そう考えると、
「きれいに見える白=清潔感」よりも、
「暮らしを受け止める黒=目立ちにくい」。
だから黒が
選ばれているのかもしれない。
そんなふうに
感じるようになりました。
なぜ今、黒いキッチンが流行っているのか
最近のカフェやレストランを見ても、
グレーや黒を基調にした
モダンな空間がとても多いですよね。
多少ラフにモノを置いても、
完璧に整えていなくても、
「雰囲気」として成立する。
今の時代の
暮らし方や感覚に、
黒がちょうど合っている場面が
増えているのかもしれません。


ただし、黒が向いていないケースも
もちろん、
黒がすべての人に
向いているわけではありません。
・汚れが見えにくい
・意外と水アカが目立つ
・明るさや軽やかさが好き
こうした方にとっては、
黒は少し
重く感じられることもあります。
黒は、
置くものや量によって
印象が大きく変わる色。
便利な反面、
気を使う色でもあります。
誰にとっても黒が正解というわけではない
白いキッチンが
向いている方も、
たくさんいます。
ものが少なく、
毎日リセットできる暮らし。
IHで、
コンロまわりの黒が
目立たない場合は、
白や白大理石の天板が、
とても美しく
成立することもあります。
大切なのは、
「白か黒か」ではなく、
どちらが
自分の暮らしに合っているか。


だからこそ、流行だけで選ばない
ドラマやSNS、
ショールームで
素敵に見えたキッチンも、
それは
「演出された一瞬」。
実際の暮らしは、
もっと現実的で、
もっとラフで、
もっと人間らしいものです。
キッチンは、
見せるための空間ではなく、
暮らしを受け止める場所。
白か、黒か。
流行か、定番か。
その前に、
自分がどんなふうに
暮らしたいのか。
一度、
俯瞰して具体化してみる。
それが、
後悔しないキッチン選びに
つながるのではないでしょうか。


余談ですが
リクシルの
コーナーパントリーが
とても使いやすそうで、
印象に残りました。
「黒で魅せる」か、
「収納で隠す」か。
その選択肢を
きちんと用意することも、
大切だなと感じました。
▶ 次回予告
次の記事では、
同じものを
・白のカウンター
・黒のカウンター
それぞれに置いて、
見え方と印象の違いを
検証してみます。
言葉だけでなく、
実際に目で見て
感じる違いをまとめる予定です。