【心にそっと寄り添うアート 】 山下結由さんの作品に感じた静かな慰め

大切な友人でもあるアーティストの山下結由さんの初個展「Solace」に足を運びました。
会場に並ぶ49枚の木炭スケッチは、どれも非常に繊細で正確に描かれており、一枚一枚が言葉を超えた深いメッセージを内包していました。
木炭というシンプルな素材で表現されているにもかかわらず、その静けさの中に強いエネルギーを感じ、思わず作品の前でじっと佇んでしまうほど。

49枚の作品それぞれが、まるで問いかけのように私たちに何かを投げかけてきます。目に見えるモチーフだけでなく、その奥に込められた結由さんからの「ことば」が静かに心に響いてきます。

言葉が持つ力を改めて感じる時間でもありました。私たちが日々何気なく発する言葉が、自分自身や周りにどれだけ影響を与えるか——。
優しい言葉を使えば、周囲がふんわりと柔らかくなる一方、不安や恐れから出た言葉は同じようにその不安や恐れを引き寄せてしまう。
そんな当たり前だけれど忘れてしまいがちなことを、作品を通じてそっと思い出させてもらえました。

特に印象的だったのは、壁一面に飾られた大きな作品。紫とグリーンという相反する色同士が絶妙に調和しており、「つながり」の中にある「受容」の力を感じました。
本来、ぶつかり合うはずのもの同士が溶け合い、調和しているその姿は、私たちの心のあり方や人間関係の在り方そのものを象徴しているようで、とても感動的でした。

今回の展示テーマ「Solace(慰め)」は、山下結由さん自身が自分の中で向き合ってきた、非常に個人的で深いテーマだそうです。
彼女のコメントにもあるように、《つながりを求めながらも、それを恐れてしまう》——その感情の揺れ、葛藤こそが彼女の創作の原動力であり、作品に込められた思いです。
理解されたい、つながりたいと切望する一方で、本当に知られてしまうことへの恐れ。
そのせめぎ合いを繊細に描き出しており、作品を通してその心の葛藤を感じ取った瞬間、自分自身の中にも同じ感情があることに気づかされました。

孤独や不安、そして癒しや慰め。人が心の奥底で感じるものに寄り添い、それをそっとすくい取るような優しさを持った作品たちでした。
展示を見終えた時、私の中にも穏やかな静けさが広がり、自分自身と優しく向き合う時間を持てたことに感謝の気持ちが湧いてきました。
結由さんの「Solace」は、鑑賞者にとっても自分の心と向き合い、弱さを受け入れ、自分を慈しむきっかけを与えてくれる展示です。
つながりたいけれど、傷つくことが怖い。そんな繊細な葛藤を誰もが抱えているのだと気づいた時、自分だけが特別ではないことにホッとできる。そしてそのことが、私たちに小さな慰めをもたらしてくれるのかもしれません。

この展示は、ただ「作品を見る」という枠を超えて、自分自身に優しさを注ぐ体験でもありました。
忙しい毎日の中で忘れてしまいがちな「自分への思いやり」を思い出させてくれる、とてもあたたかい展示です。結由さんの今後の活動にも、ますます注目していきたいと思います。
アート展は興味あるけど敷居が高い。そんな初めましての方にピッタリの個展です。
忙しさや喧騒から少し離れて、自分自身にそっと優しくなる時間をくれる、そんな特別なひとときになるはずです。
2025年3月15日(土)~4月6日(日) 「solace.」山下結由展 土日のみ開廊 12:00-19:00 東京・三宿 カプセルギャラリー https://capsule-gallery.jp/
山下結由 Instagram
https://www.instagram.com/yuyuryamashita?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==
この記事へのコメントはありません。